母が図書館で借りてきた本に、興味深いタイトルのものがありました。
読み終わったということなので、私も見せてもらうことにしたのですが、とてもシンパシーを感じました。

タイトルは『西の果てで見つけた ポルトガル人のほどよい生きかた』。
《乾祐綺》さんという方の著書です。
(実験的に、Amazonへのアフィリエイトリンクを貼っておきますが、特に気にしないでください)

導入の部分から、少しだけ本書の内容を引用してみます。

ポルトガルの”ほどよさ”とは、きっとそんな感覚だ。

急がせない。
誇張しない。
切り捨てない。
足りないものもある。
でも、過剰なものもない。

石畳の上を歩くとき、足音は少し淡く響く。

硬いのに、やわらかい。

ポルトガルはきっと、そういう場所だ。

『西の果てで見つけた ポルトガル人のほどよい生き方』

日本では「見栄えをよく見せよう」とか、ともすれば過剰にみえるようなサービスであったり、「背伸び」をしているような印象を受ける場面をよく感じます。

ポルトガルの人たちはそれに対して「等身大」「ありのまま」を大事にしている、そんな感覚でしょうか。

裏表紙に貼られた帯のメッセージ

Devagar se vai ao longe.
(ゆっくり行けば、遠くへ行ける)

急がず、焦らず、目の前の人に丁寧に向き合う。
それがポルトガル流の幸せの形なのかもしれない、と著者は本書の中で語ります。

私も、鉄道でいろいろなところに出かけるようになりましたが、その際に大事にしていることは、「急がない」。

幸い、鉄道の旅というのは、運行スピードが決まっているので、目的地に急いで着く必要性がありません。
ローカル線だって、一日の本数が少ない分、次の電車が来るまで、のんびりと過ごすことができます。

ポルトガルの人たちは「手間をかけることを、面倒だと思わない」という一文にも、とても共感させられました。

こんにちの日本では、「いかに手間を省き、効率的に生きるか」ということが重要視されがちですが、そうなっていくと《ミヒャエル・エンデ》の『モモ』の世界のように、物質的な豊かさや便利さと引き換えに、人と人の繋がりや、温かい交流といったものが失われていくようにも思えます。

また、「若さ」ばかりがもてはやされる傾向が強い日本ですが、ポルトガルでは「老い」というものを肯定的に捉える人たちが多い傾向にあります。

毎日新聞のインタビュー連載記事で『人生は夕方から楽しくなる』というタイトルがありましたが、自分も学生時代や20代の頃、不登校や引きこもりだったため、若い時はあまり楽しい思い出がありませんでした。

けれども40代になってから、いろいろな経験ができはじめて、人生が充実つつあるし、「老い」というものがむしろ楽しみになってきています。
(50歳になると「大人の休日俱楽部」という鉄道にお得に乗れる会員制の優待があるのです)

ポルトガルの人たちの「ほどよい」生き方は、「のんびりっぷ」を立ち上げた今の自分に、とてもマッチングしているような気がして、いまだに海外には行ったことがない私ですが、いつかはこの国に行ってみたいな…と思うのでした。